みなみinfo
肉牛部会に所属する(株)岸上牧場の岸上株久さんは、両親、奥さん、2人の従業員とともに約420頭の交雑種とホルスタインの2品種を肥育しています。
元々はホルスタインのみを肥育していたという岸上さんは「ホルスタインというだけで肉の値段は低く、さらにホルスタインの子牛(オス)の価格は高騰しているため、苦しい状況が続いていた」と話します。そのような状況の中、先輩に交雑種を勧められたことをきっかけに、2021年よりホルスタインから交雑種に徐々に変更していき、今年度中には交雑種のみになるそうです。
岸上さんは「大きな決断だった。交雑種は出荷までに2年かかるため、2年後の売値が分からないので不安もあったが ”少しでも希望のある方に” という思いで切り替えた」と当時を振り返ります。
交雑種に変更し始めてから2年目となる『令和5年度あいち牛枝肉共励会』で、岸上さんの枝肉が最優秀賞を受賞しました。令和4年12月に岸上牧場は愛知県内の肉用牛では初めて『農場HACCP認証』を取得しています。農場HACCPとは、農場段階で危害要因の分析・評価を行い必須管理点を決め、適切な飼養衛生管理に取組むことで製品の危害汚染を防止しようとするものです。「認証されるまで大変だったが、製品の安全性のアピールになる。また共励会で最優秀賞が取れたのも、衛生管理の改善が成績に反映されていると感じる」と話し、今後も継続的に続けていくことが重要だと岸上さんは考えています。
肥育する上で「牛をよく観察すること」が一番重要な作業と話し、「朝餌をあげる時が一番観察できるため、起き上がらない牛がいないか、息が荒くないか、目つきはどうかを確認している」と早期発見が重要になるそうです。
最後に今後の目標について尋ねると「一番の目標は、肉質を向上し岸上牧場だから買いたいと思われる肉を作ること。そのためにも、現在ある課題や問題点の解決に向けて取り組んでいきたい」と話してくれました。